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用語解説

レーシングニーラー

レーシングサイドカー。
低い姿勢で『ひざまずく(kneel)』ように乗るので『ニーラー(Kneeler)』と呼ばれているレーシングマシン。
ハンドルを握る『ドライバー』と、重心移動を行う『パッセンジャー』の二人が協力して操縦するマシンで、二人のコンビネーションが合っていないと速く走れないばかりか、危険すらともなう。

レーシング走行中はヘルメットと爆音のために会話ができず、意思の疎通が困難である。
それどころか、パッセンジャーが落車してもドライバーが気付かない事も多い。
昔は、2輪のバイクに側車をつけたサイドカーでレースが行われていたが、時代を追うにつれて、最初から3輪自動車として設計されたレーシングニーラーに変化した。

2輪のようには車体が傾斜せず、ハンドルで旋回するので4輪に近いが、左右非対称のため4輪とも異なる複雑な走行特性をもつ。
イギリスの王室属領・マン島で行われるTTレースを始め、ヨーロッパの各地で熱いレースが繰り広げられている。

  • レーシングニーラー
  • レーシングニーラー

F4

全長約1.8m、全幅約1.2m、全高約50cm。
2サイクル80ccエンジンの小さなレーシングサイドカー・TOMBOYをベースに、保安部品を付けて公道仕様にしてある。
みつわ旅館や民宿・暁で、レンタカーとして宿泊客に貸し出されている。

見た目はバイクに似ているが、本車と側車が分離できない一体型フレームの3輪自動車として設計されている。
側車付軽二輪のナンバー所得によって、税金は二輪車だが、道交法上は自動車と同じ扱いとなり、前席、後席、側車と3人乗りの、3輪オープンカーとして利用されている。
シートベルトとヘルメットの着用義務はない。

3輪バイクと違って転倒する危険もなく、島の自然を感じながらのんびり観光できる手軽な乗り物として人気がある。
視線がとても低いので、ゆっくり走っていても驚くくらいのスピード感がある。
サイドカーレースのF4クラスは、レーシングニーラーの入門として人気がある。

F2

レーシングニーラーのクラスの一つ。
全長最高3.3m、全幅最高1.7m、全高最高80cm。
パイプフレームの車体に、フロントミッドシップで4サイクル600ccのエンジンを搭載。
三宅島TTで開催される『女子高生レーシングニーラー全国大会』のマシン。
クラフトマンの制作した手作りフレームを購入してカスタマイズしたり、選手らが自ら制作したフレームに、好みのスーパースポーツバイクのエンジンを乗せている。
バイクレースやGTカーレースのようなワークスチームではなく、ドライバーとパッセンジャーが自らメカニックとして整備をするチームが多い。
マン島TTのように特別な鑑札を発行してもらう事で、閉鎖していない公道も走ることができ、トランスポーターを使わずにコースまで自走して移動したり、速度無制限区間でシェイクダウンやテスト走行ができる。

オート3輪

旧式の3輪トラックを改造してマイクロバスにしたもの。
みつわ旅館や民宿・暁で、宿泊客の送迎用に使用されている。
登録年が古く、シートベルトすらない時代の骨董品を大事に直しながら使っている。
シートベルトは重要保安部品のため、勝手に着けると違法改造になってしまう。

速度無制限の道路

マン島の非市街地には最高速度が無制限の区間があり、その道路の存在がマン島TTが開催されたきっかけである。
三宅島も特区としてそれに倣い、『村道212号線』に速度無制限区間が設けられた。日々、レーサーたちが練習走行や、マシンのシェイクダウン、テスト走行などをしている。

3輪免許証

英国では昔、安い2輪車の税金で乗れる自動車として3輪自動車が流行した。
ここも特区として同様の制度が設けられ、島の殆どの車両は3輪で、ミニパトまで3輪である。
それに合わせて、3輪の車両はすべて運転する事ができる『3輪免許証』が発行されている。

三宅島TT(ツーリスト・トロフィー)

1907年(明治40年)より、イギリスの王室属領・マン島の公道で開催されている世界的に有名なロードレース、マン島TT(ツーリスト・トロフィー)。
それと同様に、島を上げて夏に開催される三宅島のレースのイベント。
三宅島を一周する『村道212号線』を閉鎖して、コースとして使用する。

マン島TTと同じく、約2週間の開催期間がある。
約一週間、練習のプラクティスウイークと、前夜祭、エキシビションレース、予選を挟んで、本戦のレースウイークがある。
その中で、『全国女子高生レーシングニーラー選手権』も開催される。

アンダーステア・オーバーステア

自動車は、ステアリング(ハンドル)を切って旋回する。
ステアリングを切った量より少なく曲がる状態をアンダーステアと言う。
ステアリングを切った量より多く曲がる状態をオーバーステアと言う。

旋回中は遠心力によって横向きのGが発生する。
旋回速度が上がって横Gが限界に達すると、タイヤのグリップが負けて滑り始める。
先に前輪が滑り始めると、ハンドルが切れなくてアンダーステアになる。
先に後輪が滑り始めると、車体後部がコーナーの外側に流れてしまい、鼻先がコーナーの内側を向く事でオーバーステアになる。

レーシングニーラーの場合、パッセンジャーが後部を押さえつけて後輪のグリップ力を上げている。
しかし、後を押さえすぎると、前輪が浮いて滑ってしまいアンダーステアになる。
反対に、荷重を前にかけすぎると、後輪の押さえが足りなくなって滑ってしまいオーバーステアになる。
また、加速中や上り坂は、荷重が後に寄るのでアンダーステアになりやすい。
反対に、減速中や下り坂は、荷重が前に寄るのでオーバーステアになりやすい。
しかし、加速をかけすぎると、後輪のグリップが加速側に食われてしまって横Gを受け止めきれず、オーバーステアになる事もある。
また、舵角の大きな旋回中にトラクションをかけすぎると、前輪の旋回力が負けてしまいアンダーステアになる事もある。

レーシングニーラーではこれらの現象を、ドライバーとパッセンジャーのコンビネーションによってコントロールする事で、最大旋回速度に近づけていく。
これらアンダーステア・オーバーステアは、レースの限界に近い速度での現象なので普通自動車が公道で走っている時に体験する事は少ないが、雨や雪でグリップが低下していると発生しやすくなる。

まっすぐ走らない

レーシングニーラーは、側車がついているため、左右非対称な形をしている。
左側に側車の重さがあるため、右の本車が加速すると左に曲がってしまう。

反対に、右の本車がアクセルを弛めると、左の側車が前に出ようとして右に曲がってしまう。
非常に特殊な乗り物である。

トラクション

車両を前に進めようとする力のこと。
トラクションが強いほど、強い加速を得られる。

レーシングニーラーではアクセルを開くと、エンジンが力を出し、後輪が回ってトラクションが発生する。
しかしアクセルを開きすぎて力を出しすぎると、後輪が滑って空回りしてしまいトラクションが下がってしまう。
なので、パッセンジャーが体重をかけて後輪を路面に押さえつけると、後輪のグリップが上がるので、その分だけ余計にアクセルを開く事ができて、より大きなトラクションを発生させる事ができる。

トラクションが大きければ加速が強くなり、より後輪に荷重がかかるので、それによってさらに大きなトランションをかける事も可能になる。

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